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自立した高齢者のためのバリアフリー住宅とは
  1. 1. 生涯住み慣れた環境で暮らしたい!
    「第二の人生を快適な住環境で住みたい」という60歳代の方たちのマンションと戸建てを全面リフォームという形で仕事をさせていただきました。
    その年齢の方は建物の老朽化に加え、ご自分たちの退職や子供の独立などに伴い大きな生活の変化が生じます。これから近づく老後を感じながら、どこで、どのような第二の人生を暮らすか、と考える時期になります。
    貴方なら何を優先順位にどう選択をするでしょうか?
    特集の実例3ケースでは、築20年以上のマンションで販売当初から入居した方達でした。
    このマンションで暮らしたいという理由は、
    1. それぞれにマンション内に親しいお付き合いのあること。(月に1度程度で親睦会などもある。)
    2. 管理事務所には15名ほどの職員がいて常に3~5名ほどの世話人が24時間体制で管理していて、インターホンで連絡もでき、なによりも親切であること。(管理費は高めだが、管理がよいので安心)
    3. 戸数も400戸ほどの中型で、管理組合もしっかりしていること。
    4. 駅、スーパー、病院が近いこと。
    5. 日当たりや見晴らしもよく、比較的大きいスペースがあること。(100m²以上)
    6. 防犯については戸建てより面倒な戸締りなどもなく、鍵1本で外出もでき安心できること。
    7. エレベーターホールも広く、エントランスは車イスに対応したスロープ等もあること。
    8. 敷地内はゆったりと庭が確保されており、緑豊かで心休まる空間があること。
    以上のような内容で、住み慣れた場所にリフォームすることで、住み続けることになりましたが、それでは老後はマンションのほうが、住みやすいのでしょうか?
  2. 2. 戸建ての選択肢は?
    戸建ても同じではないでしょうか?人はやはり好きな場所で暮らしたいものです。実例でご紹介しますN邸もまた、
    1. ご近所のかたとよい交流があること。防犯などは警備保障会社などを使う手もありますが、やはり隣、近所の日ごろの交流も大切と言えます。
    2. マンションには出来ない増築やダイナミックな空間も造れること。
    3. 自分で手入れできる庭なども造れること。
    4. マンションなどの音の問題や、漏水事故など必要以上に気を使わなくてもよいこと。
    5. 閑静な住宅地で都心にも近く、買い物なども便利なこと。
    6. 設備や間取りに工夫すれば、戸建ての寒さは解消できること。 など
    「自分が快適な空間と思える場所に住むということは、どんなに精神的に大きな影響を及ぼすかを知りました。リフォーム当初は5年か10年くらい住めれば、後はマンションに変わると言っていたのですが、ずーっと家を楽しみながら住みつづけます」とコメントをいただきましたが、今や100歳も珍しくない時代にさて60代、70代の健常者は老後といえるのでしょうか?
  3. 3. 老後っていつから?
    私の考える老後は年金暮らしになったら老後というのではないと思います。
    60代、70代は目標を持ち、身体を鍛えながらできれば第二の人生を楽しむ時代にしたいとは思いますが、ちょっと身体に自信がなくなりかけた80代くらいからが老後かなと考えます。でも50歳を過ぎればいつ身体が不自由になってもおかしくありませんから、そのための住まいに付いての心構えや準備は必要だと思います。ちなみに50代の私も60代の夫と義姉の3人で、自宅で一緒に助け合いながら暮らす健常者のグループホームを実践しています。
    そうはいっても健常者が、リフォームするのに、早々と介護が必要になった時のことを考えて、快適な空間を諦めるのはもったいない気がします。介護が必要になったときに手を加えやすい、リフォームしやすいことを念頭に置く必要はありますが!
  4. 4. バリアフリーリフォームとは何ですか?
    誰でも知っているバリアフリーとは、床に段差がないこと。トイレや浴室、玄関、階段に手すりを設ける。浴室、トイレのドアは内開きでなく、外開きか、引き戸にする。廊下やトイレ、浴室の間口を大きくして車イスも通れるようにする。などが高齢者や障害者に対する一般的なチェックポイントとしてあげられますが、これは設備面のリフォームに過ぎません。
    ここでは築25年ほどのマンションのバリアリフォームを例に心のバリアをなくすリフォームがとても重要だということにスポットを当ててお話したいと思います。
    3年前脳梗塞で大手術をされたにもかかわらず、「もうこれ以上病院で出来ることはないので、自宅に帰ってリハビリをしてください」と寝たきりで点滴も毎日しなければいけない状態のお父様を自宅マンションに連れて帰りたいので、至急介護の出来る部屋をリフォームして欲しいと奥様と娘さんの依頼でリフォームをすることになりました。
    まず寝室をどこにするかが大きな鍵になりました。24時間体制で看護しなければならないので、ダイニングキッチンに隣接する和室の居間を洋室に変更する提案をしましたが、頻繁に出入りする医者と看護士やケアマネージャーの方たちの話を患者に聞かせたくない場合もあるとのことで、寝室の南側の書斎に使っていた洋室の間仕切りを取り払い、ワンルームにして車イスでもまっすぐ廊下に出られるよう出入り口の位置を変更することになりました。北側の寝室は今まで通り奥様のベッドを置き、お父様のベッドは医療設備をベッド廻りに置かなければならないし、診察も受けやすいように南側の日当たりの良い、外が眺められる部屋の中央の場所に設置したことで、お父様の気持ちも次第に明るくなられたとのこと。又昼間はヘルパーさんや看護士さんが来てくれるので、奥様は居間で少し休息したり、励ましに来てくれる親戚、友人の方たちともお父様の睡眠を妨げず、おしゃべりも出来るので、奥様のメンタル面でのバリアフリーを作れたことが頑張り過ぎない介護であり、介護する人の気持ちをやわらかくしながら持続させるための大切なバリアフリーリフォームと言えるでしょう。
    心のバリアを無くすこと。高齢者、身障者の方の機能面だけの追及ではなく、過度に特別扱いをしない、視覚的にもわざとらしくないデザイン性のあるもので、心を開放してあげることが私たちの使命ではないかと感じています。
  5. 5. 介助が必要になったら老人ホーム?
    一人暮らしが不安だから、病気になった時看病してくれる人がいないから、子供に迷惑を掛けたくないからという理由で老人ホームに入所する方が多いと思われますが、「一生自分の家で住みたい!」というのが本音ではないでしょうか?
    有料老人ホームを調べてみましたが、小さな箱部屋で何千万円の入居金、月何十万円もの費用が必要になります。もし入れたとしても本当に幸せになれるとは限りませんし、仕方がないと思って入られる方のほうが多いのではないでしょうか?
    今の時代、通信機器、セキュリティシステムの発達、介護支援で克服できる問題ではないでしょうか?
    コマーシャルで孫とテレビ電話で話しながら眠ってしまった、おじいちゃんに「うたた寝してると風邪ひくよ!」ってパパ役の草薙剛が促してる場面をご存知ですか?もう遠距離でも通信とテレビ、カメラ、セキュリティシステムの導入でいち早く家族が病院に連絡できたりする時代です。またご近所に親しい関係をつくり、1日1度様子を見にきてくれるようお願いするとか。これも自分でするバリアフリーです。他人の世話になりながら、自立した生活を快適と思える住居で感謝しながら生きられたら幸せではないでしょう?
  6. 6. 介護が必要になった時のリフォーム事例
    先日リフォームを予定していた80代のご夫妻が、ご主人が突然失明寸前になられたのでリフォームを断念するということになりました。今まで、身体で覚えた感覚がリフォームで変わってしまうと危険なので、という理由からです。介護を受けながら、安心して自宅で暮らせることもあります。3軒の事例と同じ間取りのマンションという設定で夫婦2人暮らしの介護用バリアフリーマンションの提案をしたいと思います。
    1. 寝室は南側にBEDを配し、南北で風が通るようにする(臭いがこもらない)
    2. 寝室が浴室とトイレに近く、開口部が広く、車イスも回転できる広さがある。来訪者は廊下からトイレに入れる。
    3. 一人で身体が動かせないほど不自由になった時天井にリフト用レールを取り付けて、浴室までの移動が出来る。
    4. 寝室内に洗面台を設けて、洗顔、洗髪だけでなく、ミニキッチンも兼用できるようにする。(夜中にキッチンまで行かなくてもちょっとしたお茶を飲める程度)
    5. 寝室の隅に下洗いや掃除用に洗濯シンクを設ける。
    6. 浴室の浴槽廻りには介助しながら入浴させることができるスペースを確保。
    7. 浴室、トイレの床も床暖房と天井には暖房乾燥換気扇を設置。
    8. 床は玄関からフラットにし、全室の温度差が出ないように床暖房と天井カセット式エアコンを設置する。
    9. 出入り口ドアはLDKと廊下、寝室には設けない。(廊下からBEDは見えない工夫をする)。冷暖房の効率でどうしても必要な場合は廊下で引き戸がよいでしょう。
    10. 洋室1は家族が、介助者が来たときゆっくり休息できる部屋。及び書斎たまたま防火区画でコンクリート造のため音も気にならない。
    11. キッチンに吊戸棚などはなく、すべてカウンター下で収納を取る。音も寝室から離れるのでキッチンに洗濯機もビルトインして作業効率を上げる。お手伝いの人が入ってもいいように通路は広めに取るなど。
    12. リビングは昼間休めるくらいのソファかベッドが置けるスペースを確保する。
    13. 手すりは各所に設けるが、あえてゴツイ手すりではなく、玄関などは寄りかかれる高さの下駄箱に手すりを組み込むデザインなどもすっきりしますし、狭い玄関なら両側から出っ張りを造らなくて済むという利点もあります。
    14. 身障者や介護の必要な方には病院でも使われるパラマウント㈱のベッドをおすすめいたします。ベッドサイドレールや介助バーが容易につけられ、静粛さを追求した電動ベッド、撥水性、通気性のよいマットレスなど数多く選べます。
    15. 夜はベッドサイドで用を足すことができるポータブル便器の置き場も確保できるとよいでしょう。今は見た目にもデザインや色にこだわったものがたくさんありますし、視覚的にも見えない場所ならもっと気が楽になります。
    16. もし寝たきりになっても、ベッドヘッドにパソコンでテレビをみたり、本を読んだり、テレビ電話が寝たままで操作できるものがあれば、どんなに退屈しないでしょう!
      タブレット型コンピューターのiPadやノートパソコンで「電子書籍」なるアプリをインストールすれば可能ですし、テレビチューナー内臓のPCであればOKです。テレビカメラで電話ならスマホやPCにスカイプなるアプリを使えば可能です。インターネットやメールが出来る方なら操作もさほど難しくはないと思います。パソコンで絵を書いたり、音楽を聴いたり、作ったり、ゲームをしたりと寝ながらでも出来ることはたくさんある時代なのです。
    こんな内容でリフォームできたら、終生自分の家で暮らす価値を検討できるのではないでしょう?
株式会社 空間構成
横山千鶴子

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